快眠について
眠りに快適な環境づくり
本人さえ気付かない様な居眠りを医学用語でマイクロスリープ(微小睡眠)と言います。
ギネスブックに載っている断眠の最高記録はイギリスの女性がもつ、449時間 (18日と17時間)ですが、これはマイクロスリープの繰り返しがあって、 達成できた記録と言えます。マイクロスリープなしでの断眠は100時間余り・・・ 人間の脳は自分の限界を知っていて休息が必要だと思えば勝手に眠り始めてしまうのです。

1日を正確に刻む体内時計の存在は、全ての生物について明らかになり 「サーカディアンリズム」と呼ばれています。人間の「サーカディアン・リズム」 は約25時間であるため、私たちは毎日自分の体内時計を外界に合わせてリセットしています。
このリセット機能に最も影響を与えるのが「光の明暗」だと言われています。 現代社会は生活時間が乱れやすい環境であり睡眠覚醒のリズムがずれ、夜型人間や不眠症 に悩む人が増えています。成人の平均睡眠時間は6〜8時間・小学生で10〜12時間と 言われていますが、睡眠は個人差もあり、8時間必要という説に医学的な根拠は全くありません。 自分にとって最適の睡眠時間を知っておく事が重要です。

最近では、睡眠に関する本も多く出版され「レム睡眠・ノンレム睡眠」 と言う言葉をご存じの方も多いでしょう。
眠っている人の目を見ていると、瞼の内側で眼球が動いているのが分かります。この状態を、 Rapid Eye Movement(急速な目の運動)の頭文字をとって「REM睡眠」と呼びます。
この状態は、眠りが浅く「カラダの睡眠」であり大脳皮質は起きているので夢を見るのです。 「ノンレム睡眠」は眠りが深く、脳の眠りであり逆にカラダが起きているので寝返りを打ったりします。

睡眠の最大の目的は脳の休息にあると考えられ、眠りはノンレム睡眠から始まりどんどん深くなり、 レム睡眠は時間の経過とともに増え、眠りは次第に浅くなり、最後のレム睡眠後に目覚めるという システムになっています。
睡眠には約90分の周期があり、一晩に4〜6回繰り返されます。 レム睡眠の時の脳波は覚醒しているときの脳波に良く似ているため、このときに目覚めると 寝起きがいいそうです。

眠りの深さや長さは、光や音などの五感への刺激や、ベッドの硬さや枕の高さといった寝室の様々な 条件にも左右されます。脳の休息のためにも、自分の睡眠を理解し自分にとっての快適な環境づくりを 心がけましょう。

快眠は健康のバロメーター
「睡眠覚醒リズム障害」という言葉をご存じですか?
肥満気味であごや首の回りに肉が付いてきた人たちの中には、眠っている間に気道がふさがり、 10秒あまりの呼吸停止が睡眠中に30回以上起きる病気(睡眠時無呼吸症候群)が増えています。
成人男性の1%がこの病気だといわれ、連続的な喫煙やコーヒー、過食などによって 無意識のうちに眠気覚まし行為をとっているのです。
これが原因で慢性的な寝不足が続き、注意力も散漫になり仕事の能率が下がる・・・
自覚症状は無くても、ここまで読むと思い当たる人も多いのではないでしょうか? これが「睡眠覚醒リズム障害」なのです。

高カロリー食や過食は、睡眠を浅くし、睡眠時間を長くすると言われています。そしてストレスも 眠りに大きく関係し、ストレスが多くなると、多量の副腎皮質刺激ホルモンが分泌され、 寝付きが悪くなります。また、明け方の浅い睡眠には「癒しの効果」があり、ストレスが大きい人ほど 明け方だらだらと浅い睡眠を続けてしまうのです。

飽食・ストレスの蔓延る現代社会において快眠は、健康のバロメーターと言えるでしょう。
毎日朝日を浴びることによって、体内時計は補正できます。なかなか寝付けない時にはホットミルクを 飲むと、トリプトファンというアミノ酸が体内でセロトニンという神経伝達物質に変化しノンレム睡眠を 増やしてくれます。

寝付きや寝起きの悪さを深刻に考えてしまうと、神経性不眠に陥りますから、あまり神経質にならず、 睡眠を楽しむくらいの余裕を持ちましょう。