99/9/3 朝日新聞「トップに聞く」

「粉末食品開発に情熱」 ヒジキ粉砕、鉄分4倍に〜HP解説し通信販売も〜
―― 主力商品は。

粉末ヒジキの「ミルファひじき・こなッこひじき」です。
その製法と製品は今年二月に特許を取得しました。
乾燥ヒジキを蒸して戻し、再び乾燥させたものをボールミル(粉ひき機)で 粉砕します。約10ミクロン以下にまで細かくするので、吸収率が大幅に 良くなります。民間の検査機関に調べてもらっにら、不思議なことに鉄分 の含有量が粉砕前に比べて、四倍以上、食物繊維、マグネシウムとも増え ていました。「ボールミルのボールが削れたんだろう」などと言う人もい ますが「コンブやメカブなどでは、こんな現象は起きません。いまだに原 因は不明です。

―― 粉末ヒジキの用遼は。

鉄分やカルシウムはどのミネラルを豊富に含むので、健康食品として売り 出しています。スプーン2杯で煮戻したヒジキは、茶わん山盛り1杯分。 学校給食用の冷凍食品やこんにゃくなどにも使われています。

―― 不況の影響は。

好景気のころは、良いものを作ると飛ぶように売れましたが、今はさっぱ り。売り上げもー九九八年に比べてニ「三割落ちました。一番痛いのは銀 行がなかなか融資してくれなくなったこと。原料は外国からまとめて大量 に買い付けるので、巨額の資金が必要になる。より巨額な資金を必要とす る大手製粉会社から倒産していきました。家内工業的に小規模で営業して いるところが残っていますね。

―― 不況対策は。

商品をたくさんの人に知ってもらうこと。パソコンが普及し、インターネ ットを利用する人が増えたのはありがたい。4月にホームページを開設し、 オンラインショップ「伊勢家こな吉商店」で通信販売もしています。 営業担当者がいないので、歩合制の営業アルバイトを8月27日から募集 しています。

―― 今後の商品展開は。

今は、お菓子の色付けに使うウコンや玄米、シイタケなど、20種類ほど 作っています。4月までは40種類ほどを手掛けていましたが、たとえば エスカルコの粉末は、1kg30万円もしたのでほとんど売れない。 高額で数が出ないものはやめました。粉末ヒジキの販売が軌道に乗ってき たので、これを中心にやっていくつもりです。研究開発を続け、ベンチャー 精神を忘れないようにしたいですね。